8月の下旬になると、今年収穫されたイ草で生産された畳表が徐々に出荷され出します。
ただ8月はイ草農家は苗を育てたりと、まだまだ忙しいので畳表の生産は少なめです。
この時期に農協の畳表市場に行くと前年のイ草で織られた畳表と今年のイ草で織られた畳表が一緒に並びます。
新米とひね米と同じように、畳表も「新草」「ひね」と呼ばれます。
明らかに今年産のイ草で織られた新草畳表は青々しています。
イ草の香りも強烈です。
畳屋さんの中には、一番に新草で織られた畳表を使いたいという方もいますが、
実は、この時期の新草の畳表を買う畳店は少ないのです。
それはイ草の変色が早いからです。
イ草は収穫後の一定期間保存して寝かせる方が色の変色が少ないのです。
畳店が新草の畳表で作った畳を納品してから2週間後にお客様へ集金に行くと
すでに黄色かったという話は良く聞きました。
比較的に老舗の畳店ほど「ひね」を好まれます。
新草の畳表
特徴
- 色が青々していて綺麗
- イ草の香り良い
気を付けたい点
- 日焼けによる変色が早い
- 水分量が多いので湿気の多い場所ではカビが生える可能性が高い
ひね畳表
特徴
- 変色が遅い
- 日焼けしても比較的に綺麗に変色する
- 落ち着いた緑色
気を付けたい点
- 古すぎる畳表は酸っぱいニオイがする
- 折り畳んだときに出来た黒いスジが消えにくい
ただ、最近は早刈りのイ草の品種もあり一概にこの時期の畳表が変色しやすいということでは無いですが、
季節的に日差しも強いので畳を変えるときは気を付けた方が良いですね。
畳表が出来るまで
イ草から畳表になるまで、実はいろいろな工程があり
刈り取ったあとスグに畳表になる訳ではありません。
- イ草の植え付け
- 収穫時期
- 泥染め
- 乾燥
- 製織
畳表の原料であるイ草は11月〜12月の寒い時期に植え付けられます。
6月〜7月中旬の暑い時期です。
イ草が畳表になるまでの工程の中に「泥染め」というのがあります。
刈り取ったイ草の色や香り、光沢を出すためです。
天然染土で泥染めをしたあと乾燥機に入れます。
この乾燥のさせ方に国産と中国産との違いがあります。
中国産の場合は温度が高く、イ草の水分をかなり低くします。
日本に海上コンテナで輸出する際にカビが発生しにくいようにという話もあります。
水分が少ない為、イ草の表皮が弱くボロボロになる畳表があるようです。
イ草の長さや品質によって選別し、畳表として織ります。
畳表が一番充実している時期は10月〜12月です。
生産量も多く全国各地で畳材料問屋が展示会を開催する時期でもあります。
私が参加した20年前のある地方であった畳表展示会では、来年使うための一年分の畳表を買う畳屋さんがいました。
畳店の倉庫で一年間寝かせてから使用すると言っていました。
その年に使う畳表を一年分買う畳店は多くいますが、来年分という畳店はあの人が初めてで最後やったな〜っと
今となっては感慨深く感じます。